悠悠緩緩とゆく 寄稿コーナー
☆ 2008年アメリカ国立公園ドライブ旅行
グランドティトン・イエローストーンの旅 ☆
今回も恒例のアメリカの国立公園へのドライブ旅行にでかけた。アメリカの国立
公園で大規模な名所の殆どは中西部に存在している。これまでレンタカーで出かけ
た有名な人気箇所のグランドキャニオン、ヨセミテ、デスバレー、ジョシュアツ
リー、ロッキーマウンテン、或いはザイオン、アーチーズ他のグランドサークル等、
行ってはみたがどうしても心に引っかかる場所、押さえておかなければいけないと
言われる場所がイエローストーンであろう。ここは1872年に世界最初に制定さ
れた国立公園として、また野生動物に一番出会い易いやすいとのことで今回も家内
(ヨシ)との二人旅に出かけた。ついでにイエローストーンに隣接している往年の
名画「シェーン」で有名なグランドティトンにも行った。ここは景色が米国で一番
美しい国立公園として知られているのである。
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【プロローグ】 2008年8月24日
アメリカン航空AA176便は13時間近くかけてダラスフォートワースへ到着、
さあ1時間半以内に国内線にトランジットしなくてはいけない。今回もマイレージ
特典航空券利用だがJAL便を使わなかった(バンクーバ便が満席)効用?で悪名
高い燃油サーチャージがAA便では不要。つまり往復で一人56,000円のコスト
セーブ、更にAA便利用の特典ゆえダラスからソルトレイクまで、更に帰りのソルト
レイクからシカゴまでの国内便の運賃も不要、ということで二人分の合計で17万円
程度は安くなったかも?
ダラスフォートワース空港、いつも通り威張っているようなイミグレーションの係官
に指紋と写真を撮られバッゲージクレイムへ、例の9.11以降、セキュリティに
神経を尖らす米国、抜き取りで中身を調べると決めたら施錠バッゲージは鍵を壊して
までも調査するとのこと。但しTSA準拠バッゲージなら施錠してあってもTSA
係員の合鍵で解錠するので問題ない、と日本では通例になっているので今回わざわざ
TSA準拠バッゲージを購入したが、念のためAAの日本事務所に確認したらなんと
合鍵を持たないTSA係員がいるとか? 従って安全を見て解錠しておいて!
とのこと、なんのこっちゃ!
アメリカの都合で決めたル−ルなのに運用がお粗末で利用者に迷惑をかける典型的
な例だ。これがアメリカンウェイということなのか!?ソルトレイクまでの国内線
は満員、この飛行機に大家族連れが多いのは気のせいか? モルモン教の信者と
おぼしき家族が見受けられる。若い夫婦が連れている子供達、8歳程度を頭に5,
6人はいるだろうか、皆こぎれいで可愛らしく、貧困どころかアメリカの白人社
会の豊かさを感じる。やがてグレートソルトレークの大きい湖をかすめて着陸。
落ち着いた感じのソルトレイク空港、盗難のリスクを承知で施錠せずに預けたバッ
ゲージがなんともなくバッゲージクレイムのベルト上に現れた時は一安心した。
いよいよ旅のスタートだ。
【ジェニーレイク シーニック ロードからのグランドティトン山】
☆ その1 グランドティトン ☆
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【ソルトレイクシティからローガン】 2008年8月24日(日)
ソルトレイクシティ国際空港は予想と異なりとても暑く、空港の目の前のハーツ
のオフィスに行くにも汗かきかきという状況だ。今回、ハーツが私に貸したのはなん
と走行2万マイルオーバーのシボレーインパラ、ハーツは5千マイル以下の車を用意
するというのが定説だったが・・・しかもボディはきれいではない、トランク上部に
は砂埃が付着している。同じフルサイズでも以前のフォードマスタングや前回のポン
ティアックグランプリに比して安っぽくも見える。最初から印象が良くない。クレー
ムも考えたがこの車種は初めてなのでまあ良いっかー、ドライブパートナーのヨシは
「車のサイズが大きくて嫌だわ・・」
いつものことだが初めての都市をレンタカーで走り出す際は緊張する。
ネバーロスト、日本で言うカーナビだがその操作も面倒なのでハーツ係員に聞いた道
をめがけて出発。ダウンタウン経由は避け北北東に向かうルートだが一旦は80E、
215Nを経由、目的のインターステイト:IS15に乗る。ハンドルがやけに上の
方にセットされていたがそのままにしていたら腕がくたびれてきた。きっと事前によ
っぽどの大男が使ったのだろう、レストエリアでチルトハンドル調整しよう。
[0Mile] ≪13:20≫
なんとユタ州のISの制限速度は75マイルだ。カルフォルニア州、テキサス州
あたりは70マイルなのに米国でも有数の高速の速度制限だ。オートクルージング
を75マイルにセットして流れに乗る。ナビケータのヨシにネバーロストを目的地に
セットするように言うがなかなか操作が分からないと言う。IS15を順調に北上し
ているので脇道に降りてセットし直すのもシャクなので二人で操作方法についてあ
れこれ口喧嘩しながら走る。
1時間近く走ってようやく最初のレストエリア、救われるように入る。レストエリ
アはBrigham Cityの直前だった。
[60M] ≪14:25〜14:45≫
【今回のレンタカー:シボレー インパラ LoganのBestWesternで】
レストエリアからIS15に合流したとたん、US89への分岐点となりそこで
降りる。道は段々ローカル性を増す。田舎道ではオートクルーズを60マイルに
セットして走る。
成田を出て20時間程度にもなり流石に草臥れたのでワイオミング州のJackson泊
は諦め途中のユタ州Loganに着いたのを幸い、この田舎町で泊まろうと決めた。
先ずは今日の夕食の食材を買い求めるためにスーパーストア(Smith’s Market
Place)に入った。この町では気の利いたレストランは無さそうなので部屋食が良さ
そうだ。期待をしていなかったがやはり田舎町のスーパー、旨そうな物は見当たら
ない。チキンの照り焼き、ポテトサラダ他を選んだが兎に角、ビールを飲みたいの
でバドワイザー6缶セットを買った。買い物も済んだので今来た道を戻り、平屋造
りで部屋前に駐車するオールドファッションスタイルのBest Western
Baugh Motel
に入った。AAAカードのディスカウント適用(JAFカード保有者向けの連携サービ
ス)で$73では? と言うのでOK。
こぎれいな部屋に入り、先程買い物した物を部屋の冷蔵庫にビールを入れようと思
ったらビールが無い?! レシートを調べたらそこにも記載が無い、困った。
ひどく乾燥しているアメリカの田舎、車を降りるときに静電気でビリッとくる。
こんな乾燥地帯でビール無し夕食なんか冗談じゃあない、モテルの担当に聞いて
1ブロック先のガソリンスタンドまで歩きだす。誰も歩いていない道路は日差しが
強すぎてクソ暑い、40℃はあるだろう。ホームレスじゃあるまいし車で行くべき
だったと反省した。ガソリンスタンドでビールを選び出し、着飾って友達と駄弁っ
ている金髪の若いオネーサンに出したら「日曜日にはビールは売れないの」と申し
訳なさそうに言うではないか、仕方ない、車で先程のSmithに行って意気揚々と
同じバドワイザーをキャッシャーに渡す。
するとそのお兄ちゃん、はっきりと「日曜日にはビールは売れないんだヨ」、その
レジ傍にいたお客の年寄りの奥さんまでが「これはねえ、あのブリガム・ヤングの
教えなのよ・・・」てなことのたまうではないか!? 更にそのあんちゃん「どう
してもアルコール飲みたけりゃ、バーにでも行くんだな・・」と、そうなのだ!
先程のレジ袋から消えていたビールは最初のキャッシャーのおばちゃんが黙って取
り除いたのだ。ガビーン!!しょうがない、アメリカ最初の夕食はビール無し、
今日はオレンジジュースか!
更にはSmithで買ったオニオンリングは筋ばかり、チキンも不味く、抑えで買った
ハムをパンに挟んでポテサラでなんとか誤魔化す。
[90M] ≪16:15≫
< Best Western
Baugh Motel > 税込$82.9
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【グランドティトン へ】 2008年8月25日(月)
[92M] ≪07:20≫
今日はそれなりのロングドライブなのでベストウェスタンを7時20分には出発
した。山登りの道は町に向かうすれ違いの車はあるものの田舎に向かう車は少ない。
Bear Lake
Overlookという眼下にベアーレイクを望む展望地に着いた。景色は良い
が誰もいないここの管理事務所前には良く見かける小鳥用の蜜壺が吊り下げられて
おりハミングバードが蜜を吸っている。
【朝 ベアレイクを望む展望台から】
そこから湖に向かって下るとその名も美しいガーデンシティ! 湖畔の町、若しか
したらニュージーランド南島のクイーンズタウンみたいなリゾートシティを想像し
ていたが、全く違う。開発が済んだ日本の高原別荘地の雰囲気だ。活気がないと言
うか、人が見当たらない。この辺りは別荘だけのようで、まだ8月末なのに既にオ
フシーズンなのか、元々人口が少ないのか道路沿いに人は見かけない。湖には一応
それらしいクルーザーが係留してあるのが見えるが動かしている様子はない。
[127] ≪08.:10〜08:30≫
グランドティトン、イエローレイクのゲートシティであるJacksonまでは
America’s By-Wayと定義されている89号線を北北東に向かって走るのみである
がバイウェイと言うほどの景色では無い単調な道だ。ジャクソンに向かう途中、
ヨシがTCからドル紙幣に両替がしたいと言うので銀行を探す中、おり良く
Montperierに差し掛かった。西部劇に出てきそうな街並みに厳めしそうなウェル
ズ・ファーゴ銀行を見つけた。ラッキー!
ドアを開けて中に入ると高いカウンターの向こうに数人の女性行員がこちらをチラ
見。その中で若そうな行員にヨシがUS$50のTCをパスポートと共に差し出す
と先方は困った顔をしている。何事かと伺うとこれまで扱ったことが無いないみた
い? 何を言うTCの発行銀行を見てみろよ! お前さんたちのお国の銀行:シテ
ィバンクだぜい!
その行員、隣の50歳過ぎのおばさん行員と相談している。すると$30イーチ
だと? 有り得ない!と思って再度聞き返したらなんと10枚のTCそれぞれに
$30づつと言っている。馬鹿言ってんじゃーねえ! 俺たちが駅馬車強盗に
見えるのかっ? 色のついた奴はネイティブアメリカンのアパッチかも?ってか?
Wells, Fargo & Co 150年程ほど前に創立、西部劇ではジョンウェインの世界
? 当時は贋札もあっただろうが・・・
二人でぶつぶつ言って運転しているうち賑やかなジャクソンに着いた。
駐車場の目の前が1’st Interstate BANK ここで先程のTCを見せたら全く問題
なしに両替できた。こんなもんだアメリカは!? 手数料も全部で$6だった。
昼食の良い場所は? と聞いたらチャイニーズレストランが好評だというので冷房
がガンガンと効いた中華レストランに入る。周りのお客さんはセットメニューを
オーダ―していたが我々にはヘビーに思えたので、僕はスープヌードル、ヨシは
チャーハンつまりはエビ入りタンメンとエビ入り焼き飯を頼みコーラで食べた。
なかなかいける味だった。
それにしてもここジャクソンはまるで夏の軽井沢銀座!? あちこちのショップを
巡っているのか観光客がゾロゾロ歩いている。この町自体は大したことがないが
ここはグランドティトン、イエローストーンのゲートシティになっているので国立
公園内のロッジが満員の場合はここに宿泊して往復するのだろう。二人とも喧騒が
嫌いなのでガソリンだけを入れてさっさとグランドティトンへ向かう。
[278M] ≪11.:45〜13:10≫
【 スネークリバー越しのグランドティトン山 】
グランドティトンへはソルトレイクシティからゲートシティと言われるジャク
ソンを経由しておよそ300マイルで到着する。この国立公園内をジャクソンホー
ルハイウェイがイエロースト−ンまで貫いており、この道路を走るだけでスネーク
リバーの向こうにティトン山脈の絶景が見渡せる素晴らしい景色となっている。
だが制限速度が55マイルとなっているため景色を楽しみながらのんびりと走って
いると後ろの車にせかされる状況だ。
バスは全くと言ってよいくらい存在せず、乗用車とキャンピングカーの世界である。
グランドティトンの半ばを過ぎてから公園のゲートが現れる。ここでイエロースト
ーン国立公園と共用の一週間有効の国立公園パスを購入、これら国立公園パスも数
年おきに上がる傾向?以前は$15、今年は更に一昨年よりも$5上がって$25
になっている、全く世知辛い。
Colter Bay Resortに到着した。コテージやキャンプ場、或いは湖畔での色々なアク
ティビティがあるからかインフォメーションセンター内に立派な?オフィスがある。
親切そうな白髪のお婆ちゃんから明日のラフティング(フローティングトリップと
表記)の予約チケットを購入、なんと$51もしたので予想外だった。チェックイン
まで時間があるのでまた南に戻り、ジャクソンレイクジャンクションを右折Teton
Park Roadに入りSignal Mountainに出かけた。この丘からの東側には広大な湿原
が広がり、この広大な景色はアメリカではよくある景色だ。西側にはグランドティ
トン山が見える。
景色が良いJenny Lake Scenic Roadを経由してコルターベイリゾートに戻った。
[348M] ≪16.:30≫
【ジェニーレイク シーニック ロードからのグランドティトン山】
今日はコルターベイヴィレッジのキャビンに宿泊する。ここはジャクソンレイクの
マリーナやキャンピングサイト等がある観光の中心地だがコテージ(キャビン)は
静かな林間に点在する質素な作り。簡単なトイレとシャワーがある。驚いたのは棟
続きの隣室の湯沸かし器がこちらの部屋にある。ベッドも小さめなのでこれで
$135は少し高いのでは?
【モラン山を前にした夕方のコルターベイリゾ−ト 】
夕食はビレッジ内のレストランヘ。優男風のトルコ出身のウェイター、我々が日本
人と分かるとやけに親切と言うか話しこんできて色々世話を焼くので、トルコと
日本とは昔から友好国である、なんてことを言うと、その通り!と嬉しそうな顔をし
ている。僕はビーフボールのパイ、ヨシはラザーニャを頼んだ。赤ワインは外れる
と嫌なのでボトルにせずグラスにした。案の定というかワインはいまいち、ヨシは
ラザーニャが全くまずいと言うし、僕のビーフボールも中身のスープはまあまあだ
が、ボールの中に転がっているビーフの塊も二つ三つは我慢できるがそれ以上はな
んとも・・だ。そういえば昼間、インフォメーションセンターのお婆さんにお勧め
のレストランは?と聞いた時にこのレストランのことはお勧めで無さそうな態度だ
ったがやはりそうなのかと痛感、しかし他に食事どころが無いので選びようが無い。
勘定の段になってキャッシャーに行ったら件のトルコ人ウェイターが飛んできた。
チップを2割程度渡そうと書いていたら、なぜかチップは少しで良い、後でうまく
やる、とか言って片目をつぶっていたので1割強に変更した。宿泊したコテージ
(キャビンと言う)は外の温度がそのまま伝わるようで寒かった。
< Colter Bay
Village MORAN >
税込$143.10
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【グランドティトン で】 2008年8月26日(火)
【ジャクソンレイクロッジのロビー 沼地、ジャクソンレイク越しにモラン山】
[348M] ≪7.:00≫
朝8時スタートのフローティングトリップに参加するため早起きした。管理棟で
昨夜借りたヘヤードライヤーの預け金$10を返却して貰ってジャクソンレイクロ
ッジに行く。今日は昨日とは様変わりで8月とは思えぬほど寒い、10℃以下だろ
う。ジャクソンレイクロッジのロビーの目の前には沼地、そしてジャクソンレイク、
その向こうにグランドティトン連峰が見渡せる。この最高のロケーションなので
ここからの景観を称して一番美しい国立公園と言われているのかも知れない。その
ロビーのソファーから座ったままでその素晴らしい景観を欲しいままにするためか
天井まで約5m以上はありそうなガラス窓がある。今日、このロッジに宿泊するの
だが念のためフロントに問い合わせたら朝7時半なのにもうチェックインできると
言う。但し、部屋から最高の景観が見られるメインビルディングのレイクビューの
部屋はなんと$400程度を払わなければ泊まれない。従って我が室はホテルから
離れた東側のマウンテンサイドのコテージ宿泊となるのである。
コテージ群の一番外れなので確かに落ち着けるが価格並みかどうかは? 調度品は
まあまあだが問題は便器、ぐらぐらしていて座る時に注意しないとまさに倒れそう
である。
【スネークリバーで3時間のフローティングトリップ】
ロッジのロビー付近には同じフローティングトリップの人だろうか、数人程集ま
っている。何しろこの寒い中、3時間も川の中のボートにいるというのだから、
トイレには念入り?に行った。小さなボートでは小用といえども無理なのである。
20人近くの参加者が2台のワゴンのバンに分かれて出発地に向かう。
我々のボートには3組の白人夫婦と8歳位の娘を連れた奥さんが乗り合わせた。
ラフティングと思っていたが違っていてお客は全くオールを漕がず、日本でいえば
船頭にあたるお兄さんが長いオールを漕ぐのでフローティングトリップと言うので
ある。スネークリバーはゆったり流れ、その流れに乗ってゆっくりと下っていくだ
けだが、しっかりとライフベストを装着しなければならない。船頭のお兄ちゃんは
この付近の地形や動物等の説明をしながら炉を漕ぐのだが最初から最後までしゃべ
りっ放し。その間もボートはグランドティトン山、モラン山の景色を欲しいままに
しながら下っていく。川の傍に聳える立木の上には白頭鷲が悠然と辺りを睥睨して
いる。たかが鳥なのに貫録あるものだ。寒くなってきたので船頭から渡された膝かけ
で風を避け、尿意を催さないように、とひたすら祈るばかりのフローティングだ。
ボート内のお客の連中とはそれなりに打ち解けて来てはいたが、そのうちお決まり
の一人づつの自己紹介だ。皆、名前は勿論、自分の仕事とか住まいの話を5分程度
もする人もいる。僕の番になって10年前のカナディアンロッキーのジャスパーで
のラフティングは良かったぜ、とかいうと「イッツ、クール!」ってな声がかかっ
たりなんかした。感心したのは8歳くらいの女の子もしっかりと自分の考えを入れ
て自己紹介をしていたことだ。
単調なフローティングトリップ、もう大抵飽きた頃に終着点についた。陸に上がっ
た時の温かさがなんとも言えず有難かった。12時頃にジャクソンレイクロッジに
ワゴンのバンで戻った。なんと合計4時間も費やしたので$51の高い料金も時間
単価では? ロッジに戻り、ロビーのデスクにビジター用ノートが備え付けてある
ので何か?と見てみたら、旅行者がその日に目撃した動物がそれぞれ書き込まれて
いる。エルクやムース、コヨーテ程度は驚かないがその日に、我々が立ち寄ってい
る観光地の傍でグリズリー(灰色グマ)やブラックベアを目撃、という書き込みに
は驚いた。
[354M] ≪13.:00≫
さて昼食をロッジのグリルで済ませ、ジェニーレイクを目指す。その途中で素晴ら
しい景観と言われているティトンパークロード、ジェニーレイクシーニックロード
を通る。この道路にはツアーの観光バスが入れないので走っているのは乗用車だけ。
それよりもともとこのあたりには観光バスが少ないので他と国立公園同様、乗用車
とキャンピングカー主体の街道風景となっている。グランドティトン連峰に向かっ
て伸びる道一本道は素晴らしい景色で、暫し佇んでいた。この平原から左にグランド
ティトン山、右にモラン山の急峻の山々がキリッと立ちあがっている雄大な景観は
素晴らしい、の一語に尽きる。
【ジェニーレイク シーニック ロードからのグランドティトン山】
ジェニーレイクシーニックロードを南下すると道が狭くなり、ジェニーレイクに
到着。そこから対岸へは小さなボートで渡る。料金を払う段になって係員が片道か
往復か?と聞くのでラウンドトリップと言ったとたん、$11だ、といっていきな
り僕の手の甲にスタンプを押した。帰りまで消えなきゃ良いなあ、とつまらん心配
をする。でも往復にして良かった、若しワンウエイなら帰りは湖岸沿いに2時間近
く歩く羽目になっていた。20人程度で満員のボートはオンシーズンなので15分
おき程度に出発するが殆ど満員だ。やけに騒がしいモーター音の箱形ボートは思い
切り舳先を上げて対岸に向かう。
久々に観光しているなあ、という気分。いうなれば芦ノ湖でのモーターボートの
雰囲気そのものだ。
対岸に上陸するとお決まりのハイキングコースになっていて全員が山道を歩きだす。
さすがに観光地には東洋人(チャイニーズ?)の姿もチラホラいるが、周りの観光
客の言葉はイタリヤ語とかスペイン語とかどこか知らぬが東欧系の人もいるようだ。
グランドティトン山の麓を登るわけだが1時間弱でインスピレーションポイントに
着く、ジェニー湖が眼下に見え、遥か彼方はどこまでも草原が広がっているだけだ。
付近の岩肌にはリスが走りまわっているが、こういう観光地は僕たちにとっては癒
しにならないので、また小舟でさっき来たジェニーレイクの対岸に渡り、ジャクソ
ンレイクロッジに戻った。
[392M] ≪16.:55≫
【インスピレーションポイントからのジェニーレイク】
ジャクソンレイクロッジのレストランは今回の旅行の中では一番格式が高そうな
のでそれなりの恰好で出かけた。日本人と見て上得意とでも思ったのかラテン系ら
しき四角顔のウェイターがうやうやしく対応する。メインはプライムリブ、トラウ
ト、またサラダも予想外に美味しかったので久々に白ワイン(シャブリ)をボトル
で頼み食事を楽しんだ。このレストランはこの辺りの観光地の中心のレストランな
のでお客の人も様々である。特に目を引いたのはテキサスかオクラホマ州あたりか
ら来たみたいなアメリカ人男性、金飾りのついた大きな黒のテンガロンハット、
これもカーボーイの正装なのか、ラメでピカピカに飾った黒い上下ウェアであたり
をゆっくりと眺めながら大股で颯爽と歩いてくる、アメリカの古き良き時代?を
彷彿とさせるには十分な風体だった。
< Jackson Lake
Lodge MORAN > 税込$221.5
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【グランドティトンからイエローストーンへ】 2008年8月27日(水)
[392M] ≪8.:45≫
【ジャクソンレイクロッジのテラスからの朝の景色:晩夏だが霜がおりている】
朝はかなり寒い。お目当てにしていた「朝焼けに輝くグランドティトン山」を見る
べくメインロッジに歩いた。8月というのに防寒用に長袖シャツの上にウィンドヤ
ッケを着ても寒い。ロッジのテラスにはカメラを構えた人が数人いる。目の前の
沼地には草を食むムース(ヘラ鹿)がいる。一生懸命写真を撮っているうちにベン
チにいたアメリカ人がグランドティトンのティトンの意味を知っているかい?
てなことを突然言いだす。
生返事で頷いていると、その人が、フランス語由来の言葉でGoogleにも出て
いるから調べてみると良いよ、乳首って言う意味だよ、 と言う。確かに山頂は
とがっているが・・・
人間であのとがり具合ではそれなりに問題があるよね、と冗談も言う? そのうち
その白人の奥さんらしき人(特定できないよね、米国は・・・)がやってきて「寒い
から話なんかしていないで早くロビーへ戻れば」、だって、その男性、片目をつぶっ
てバイバイ、仰る通り、こちらも寒さに震えてベンチにいる場合では無い、風邪ひ
くかも? ロビーに戻ろう。ロビーにはスナックスタンドが用意されており、
ロビー越しに見事な景色を見ながらベーグルとドーナッツ、コーヒーで簡単な朝食
とした。
さてイエローストーンに行く前、まだグランドティトンで行くべき場所があるので
行かなければならない。再度、ティトンパークロード、ジェニーレイク シーニッ
ク ロード経由で南下した。
【ジェニーレイク シーニック ロードからのモラン山】
Moose
Junctionのヴィジターセンターで9月半ばに誕生する初孫のための英語
(ここなら当たり前か?)の絵本を買った。ジジ馬鹿、ババ馬鹿の走りかも?
さて行くべき場所、映画「シェーン」の撮影地であるAntelope Flats
Road に
行ってお決まり定番写真を撮る。かの二枚目俳優 アランラッドが馬にまたがっ
て去って行く。ジャックニクラウス似の少年が「シェーン カムバーック」と叫ぶ
映画のシーンは今でも覚えているが、意外と言うかこういう場所は実際に行って
みると事前の期待が大きいせいか、それほどの感慨を覚えないのが通常である。
やはり旅は筋書きのない出会い、思いもしない驚嘆の景観との遭遇が良いかも?
さあいよいよ、イエローストーンを目指そう。
[413M] ≪10:00〜10:15≫
【あの名画で叫んだ 「シェーン カムバーック!」は はるか昔のこと?】