寄稿 〜矢野さんからのメールの紹介〜

矢野さんからのメール

                     平成15年4月2日
                       矢野 弓之介
前文ご免下さい。
 さて、ホームページのお知らせをいただきまして、誠にありがとうございました。先月ニュージーランドに出掛けられフッカー谷、ミルフォードサウンドなどに行ってこられたとのこと、楽しい旅を過ごされたたのではないかと思います。ご存知かと思いますが、私は昨年の1月26日から3週間ほどニューランドに行ってまいりました。

 以前シンガポール理工大にいたベラルーシュの先生がマッセイ大学に転属し、1月下旬からクライストチャーチで開催される設計、テスト、応用に関する国際会議の議長を務めることから誘いがあり、この様な機会でもないとニュージーランドに行くことはなかろうと出掛けてまいりました。会議は3日間でしたがクライストチャーチには5日間滞在し、市内以外ではスイスの大学の先生とトランスアルパインエキスプレスでアーサーズパスを越え、グレイマウスを往復しました。会議終了後、2月1日にクライストチャーチからバスでテカポ湖を経由しマウントクックに入り、貴兄と違い年金旅行者ですのでYHAに泊まりました。

 今回のニュージーランド旅行の目的は、国際会議の参加と南北二つの島の最高峰マウントクック、ルアペフの登頂でした。しかし、ニュージーランドの山岳地帯は絶海の孤島にあるため天候が安定せずマウントクックも甘くない山で、マウントクックの飛行場から小型機で標高2000mのプラトー小屋に入り、天候を観て標高差1800mほどを十数時間で往復すると言う厳しいものでした。マウントクックの山岳事務所では天候待ちのために少なくとも数日間はプラトー小屋に滞在することになるので費用は総てで20万円ほどになり、しかも登頂の保障はできないとのことでしたので諦めることにしました。

 このため北島のルアペフに期待し、南島は個人で山小屋の予約が可能なミルフォードトラック、ルートバントラック、ケプラートラックの三つのトランピング(トレッキング)に変更し、マウントクックはフッカー谷に入りターミナルレークの奥にあるフッカー小屋までのトレッキングに変更しました。この内のミルフォードトラックは1日に80人のトレッカーしか入山させず人気コースのため半年前から予約で一杯でしたので、フッカー小屋、ルートバントラック、ケプラートラックの三つのコースのトレッキングを行いました。フッカー小屋へのコースはターミナルレークから奥のフッカー小屋へのコースが雪崩のために荒れており、誰にも会いませんでしたが、ハミテージから小屋の下まで数時間を要しました。しかし、晴天に恵まれマウントクックの素晴らしい写真を撮ることができました。その後、マウントクックからクイーンズタウンにバスで行きまたしてもYHAに泊まり、そこからの3日間のルートバントラックではハリスサドルで雪に見舞われましたが、マッケンジー小屋、ホーデン小屋に泊まりキーサミットに登りデバイドに出て、ミルフォードサウンドに下りました。

 ここでは宿泊費、海上遊覧の費用を抑えるためにオーバナイトクルージングで船上に泊まりましたが、早朝の誰もいないミルフォードサウンドのクルージングは素晴らしいものでした。ミルフォードサウンドからはテアナウにバスで出て、久し振りにまともなホテルに泊まり休養後、3日間のケプラートラックのトレッキングに出掛けました。レークテアナウをボートで渡りブロッドベイからラクスモア小屋に泊まり、ラクスモア山に登りアイリスバーン小屋に泊まり、テアナウに出て、その日の内にクイーンズタウンにバスで戻り荷物を置いてある YHA に泊まりました。そのあとの北島への移動は気違いじみております。クイーンズタウンを7時にバスで出発しクライストチャーチで乗り換え一気にピクトンまで行き十数時間掛かって23時近くに着きました。しかし、バックパッカー宿のピクトンロッジの管理人は帰宅してしまい、入口の戸は宿泊客に開けてもらいましたが、予約した部屋が分からず結局リビングルームで一泊しました。翌朝はインターアイランダーのフェリーに5時過ぎに乗りウェリントンからバスでブルスを経由しナショナルパークに着き、夕刻ファカパパビレッジのスコーテルアルパインリゾートに入りました。

 このホテルはグランドシャトウトンガリロに較べればNZ$100と安価でしたが、食事代は別で朝夕2食でNZ$40は掛かります。期待の最高峰ルアペフへの登山は悪天候でケーブルが停止しており、ホテルで知り合ったイタリア人とトンガリロクロッシングのトレッキングに切り替えました。しかし、天候は強風最悪で途中で引き返すグループも多い中、ケテタヒ小屋を経由してケテタヒロード終点まで強行突破しスコーテルに1日で戻りました。その後ナショナルパークからバスでオークランドに出て2泊し、3週間のニュージーランドの一人旅は終わりました。 ミルフォードトラック、ルートバントラックなどのトレッキングは、日本からのツアーで出掛けますと3、4日のトレッキングだけで各数万円は取られますが、ガイド付で山小屋の近くの暖房、寝具、シャワー、食事付のホテルのような山小屋に宿泊できます。

 環境保護省の管理事務所で個人トレッカーとして山小屋を予約しますと1泊NZ$10-40程度と格安ですが、寝具、暖房、食事などはありませんので、寝袋、食料などを持参する必要があります。しかし、入山者を制限しているので山小屋は快適で、小屋への流水、宿泊者数に見合った分のガスコンロ、シンクなどが完備されておりますし、何よりも世界中からやって来る様々なトレッカーと仲良くなれることが素晴らしいと思いました。特に1936年モデル(生まれ)の私は大抵最年長で皆に親切にされました。日本人は大体通訳ガイド付のグループでトレッキングに来ますが、コースを通してトレッキングをするグループは少なく、海外のトレッカーとの交流も少ないのであまり楽しくないのではないかと思いました。その中ではワーキングホリデーで長期滞在している日本の若い女性は元気で、ケプラートラックでは2人の女性と仲良くなりました。ワーキングホリデーと言いましても仕事をしている者は僅かで、大体は日本で働いて金を貯め1年近くニュージーランドを旅行している者が多いようです。英語を勉強するため、海外で生活してみたいため、などの目的の若者が多いようですが、その後でどうしたいのかと言う目標のない者が多いのが問題であると思います。 これらのトレッキングの記録は総て整理してありますが、写真が多く数+MBと容量が大きく、10MB程度のホームページにも載せられませんし、ホームページを公開する気もいたしませんのでファイルに残してあります。もしご必要でしたら印刷して差上げます。ここではマウントクックのフッカー小屋の近くから撮影いたしました人面の浮き出しているマウントクックの写真を添付ファイルでお送りいたします。
 以上とり急ぎお知らせへの御礼まで。
                   草々
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